ケモノ道

部屋から少し歩いたところには立派な桜を玄関に構えている家があるので、外出する際にはその道を通れば花見を楽しめるのだけれども、部屋の窓からは全く花を見ることができない。
今日、ふと窓から外を眺めたら蝶が飛んでおり、ああ、もうそんな季節かと思いそのまま目の端で眺めるとは無しに外を眺めていたら次々と蝶が飛んでくるではないか。目の端とは言え我が目を疑って窓の外を改めて見ると、ちょっとした量の桜の花びらが舞っているのだった。
全く気が付いていなかったが、窓から身を乗り出せば周囲に建った家と家との隙間から少し先の庭の桜が見ることができて、昨日あたりから満開になった桜の花が風に乗り、その隙間を縫ってここまで届いているのだった。
部屋から見える風景は殺風景と言わないまでも四季を満喫できるような風景ではなかったので、昔、地下鉄の中で蝶が飛んでいるのを見たような、少し幻想的な気分になった。
今更ですが、門出を迎えた皆様、おめでとうございます。